福岡・佐賀民医連

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きかんし ふくおか・さが民医連

2014年2月17日月曜日

484号 名護市長選で稲嶺氏圧勝/事例運動交流集会開催/                シリーズ「貧困の拡大と生活保護制度」

○“新基地NO!”安倍政権の強圧に屈せず稲嶺ススム氏が圧勝

  安倍政権による新基地建設押し付けを許すかどうかが問われた名護市長選挙は「辺野古の海にも陸にも基地をつくらせない」と公約した稲嶺進氏が圧勝しました。福岡民医連では、支援のために昨年から沖縄の戦後の歴史とたたかいについて全職員対象に学習会を開催したり、名護市やんばる診療所周辺の組合員ふやしに協力、市長選勝利にむけて延べ200人の支援者を送り勝利に貢献しました。
  

名護市に基地はいらない (伊見 万弓 親仁会 事務) 

1月4日から3日間、名護市長選挙の支援に行きました。稲嶺進名護市長の再選が決まり、歴史的選挙に関われたことに喜びを感じています。
今回の選挙は、昨年末に仲井真沖縄県知事が辺野古埋め立て申請許可を表明し、一気に相手陣営が元気づきました。私がビラ配りをした地区も、相手候補ののぼり旗が立ち並び異様でした。あるお宅にビラを入れていると、庭の方から無言の手招きで呼ばれました。ご主人は「ご苦労さまです。ここでは、大きな声では稲嶺候補支援と言えないけれどと声をかけ、私も庭先で10時のお茶の時間をご御馳走になりました。
すぐそこには青い海が広がり、この海を見たら、埋め立てて滑走路を作るなんて考えられません。海より命の問題です。ご主人は「海より命の問題だ。基地をつくれば百年は続く。子や孫に再び、基地の苦しみを残すことになる。それだけは絶対許してはならない」と強い口調で言われました。活字では何度となく読んではいましたが、現地の人からその言葉を直接聞くと、胸にズシーンと響きました。



○『権利としての社会保障』拡充めざす

県連社保委員会が県連事例運動交流交流集会開く


8人の事例報告を聞く参加者

2月1日、2013年度県連事例運動交流集会をTKP博多駅南会議室で開き88人(外部参加7人含む)が参加しました。「経済的困難を抱えた人たちの受領権を守る民医連の役割」をテーマに事例報告と記念講演を行いました。午前は事例発表をおこない、午後は潮谷有二氏(長崎純心大学教授)と柳谷円氏(青森保健企画・事務)の2人が講演しました。

 事例報告では、事例に基づき「社会保障改悪や格差・貧困が招いた事例」「無料低額事業拡充と受診権を守る取り組み」「社会資源の活用を強め受療権を守る取り組み」等のテーマにそって報告と質疑応答をおこないました。どの演題も一人一人の人権を大事にして患者の実態を通して問題解決に迫る内容でした。

潮谷有二氏

 午後は、2本の記念講演がおこなわれ、潮谷有二氏(長崎純心大学教授)が「無料低額診療事業の今日的意義」のテーマで講演され、無料低額診療事業が「過去の産物である」との批判を指摘し、無料低額診療事業の法的根拠と取扱いについて事実から必要性を語りました。




柳谷 円氏
続いて柳谷円氏(青森保健企画・事務)より青森市が高知市、旭川市に次ぐ全国で3番目の調剤処方費助成獲得に至る取り組みについて報告をおこない、患者さんの声に基づいて青森市議会への要請、署名活動、青森市長との懇談などその行動力に圧倒されました。
最後に国保法44条の活用や生活保護など『権利としての社会保障』を拡充することを確認して終了しました。




 ○シリーズ これだけは知ってほしい

「貧困の拡大と生活保護制度 第1回」

 池田 和彦さん (筑紫女学園大学教授)

  厚生労働省が毎月公表する「被保護者調査」によれば、201310月現在、総人口に占める生活保護制度利用者の割合を示す保護率は1.70%(被保護実人員は2164338人、被保護世帯数1594729世帯)となっています。ここのところ必ずしも増え続けているわけではなく、いわば高止まりの傾向にありますが、1995年の保護率が0.70%882229人、601925世帯【世帯数の最少1992年の585972世帯】)であったのと比較すれば、貧困が拡大していることは間違いありません。もちろん、生活保護制度を利用している人だけが貧困状態にあるわけではありません。

極めて低い捕捉率

この国では、生活保護制度を利用できる状態にある人のうち実際に利用できている人の割合を示す捕捉率が、専門家の試算で1520%(厚生労働省の発表でも32.1%)と極めて低いという事実があります。つまり、仮に捕捉率が20%だとして、必要な人すべてに制度が届いたとすれば、その利用者数は現在の5倍となりますから、、約1082万人、総人口の8.50%に達します。

セイフティーネットの機能が不十分

  そして、それは誇張でも何でもありません。厚生労働省の発表によれば、2009年の相対的貧困率(所得の多い人から少ない人までを並べたときに真ん中に位置する人の所得の半分である貧困線以下の所得しかない人の比率)は16.0%だが、同年の貧困線は年収にして112万円に過ぎません。月額で10万円にも満たないその金額からみて、この16%に入る人々は生活保護制度を利用すべき状態にある可能性が高いと思われます。
  これら日本の貧困を示す数値の一部を見るだけでも、この20年くらいの間に貧困が拡大し続けているにも関わらず、最後のセーフティネットといわれる生活保護制度さえ十分に機能していないことは明らかです。次号では、その原因を考えてみたいと思います。
(つづく)

(池田和彦氏 プロフィール)
龍谷大学大学院文学研究科博士後期課程社会福祉学専攻単位取得。満期退学後、種智院大学助教授などを経て、現在、筑紫女学園大学人間科学部教授。専門は、社会保障論、公的扶助論。